猫のワクチン接種について、「なんとなく必要な気がするけど費用はどれくらいかかるんだろう?」「そもそもワクチンの接種は必要なの?」など疑問に思うことはありませんか?
この記事ではそんな猫のワクチンの基本情報や費用、接種にあたって気をつけることなどをまとめて詳しくお伝えします。
・猫のワクチン接種は必要なの?
・そもそもワクチンってどんなもの?
・ワクチンにかかる費用は?
・副作用はないの?
元保護猫を飼っている筆者の経験や獣医さんに教えてもらったことを元にした内容になっていますので、これから猫ちゃんをお迎えする人や既に飼っている人もぜひ参考にしてみて下さいね。
ワクチンって何?猫にワクチン接種は必要?
ワクチンとは
そもそもワクチンとはどんなものなのでしょうか。
猫のワクチンに限ったことではありませんが、ワクチンとは弱体化した病原体を体内に取り入れることで、その病気に対する免疫を獲得するというものです。接種することで対応する病気にかかりづらくなったり、もしかかってしまっても重症化せずに済むと言われています。
猫のワクチン接種の必要性
基本的に猫のワクチン接種は必要です。室内飼いの猫であれば必要ないのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、感染症の中には非常に強い感染力を持つものもあり、飼い主さんの服や靴から、あるいは網戸越しに地域猫から感染するといったリスクも十分考えられるのです。
猫のワクチンで予防できる6つの病気
では実際にワクチンで予防できる感染症について見ていきましょう。
猫ヘルペスウイルス感染症(猫ウイルス性鼻気管炎)
発熱、くしゃみ、食欲減退といった症状が表れます。また鼻が詰まって口呼吸になることも。結膜炎を併発した場合は目やにが見られます。
若く健康な成猫であれば10日前後で自然治癒することがほとんどですが、生まれて間もない子猫や高齢の猫にとっては命を落とす危険のある病気です。
キャリア猫との接触や飛沫で感染するケースや、キャリア猫を触った人を介して感染する場合もあります。
猫カリシウイルス感染症
猫ヘルペスウイルス感染症と症状が似ていて、鼻水、くしゃみ、発熱、食欲減退などが見られます。加えて口内炎や舌炎が現れることも。重症化することはあまりありませんが、やはり子猫には危険なものと言えます。
キャリア猫との接触や飛沫による感染がほとんどですが、キャリア猫を触った人を通しても感染します。
猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)
初期症状としては発熱や食欲減退、進行すると激しい嘔吐、下痢、血便といった症状が表れます。ワクチン未接種の子猫の致死率は9割になると言われ、感染力も非常に強い恐ろしい感染症です。
感染した猫の糞便や吐しゃ物との接触や、その飛沫を吸い込むことで感染します。またこのウイルスは数ヶ月生存できるため、人の靴や服に付着したウイルスによって室内飼いの猫が感染することもあり得るのです。
猫クラミジア感染症
猫ヘルペスウイルス感染症、猫カリシウイルス感染症とともに俗に「猫風邪」と呼ばれる感染症です。結膜炎や角膜炎などを引き起こし、目の腫れや充血、目やにが見られる他、鼻水やくしゃみといったいわゆる風邪の症状が出ることもあります。
キャリア猫との接触やくしゃみなどの飛沫の吸入が主な感染ルートです。
猫白血病ウイルス感染症
感染すると2~6週間で発熱やリンパ節の腫れが見られます。その後ウイルスを排除し治癒することもありますが、子猫の場合はウイルスの排除ができずリンパ腫や免疫不全等を引き起こし、多くの場合死に至ります。また根本的な治療法は無く、完治することはありません。
多くは感染猫とのケンカでできた傷口からや、日常的に感染猫と接する(多頭飼いなどの状況)ことで感染します。
猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
感染後4~6週間の潜伏期間を経て、発熱や下痢の症状が見られ、長ければ数ヶ月続くこともあります。一旦こういった症状はなくなり、通常の状態に戻ったようになります。数年ほどこの状態で落ち着きますが、その後発症すると徐々に免疫機能が低下していきます。その影響で口内炎や風邪症状にはじまり様々な病気を引き起こし、最後には死に至ります。(無症状のまま生涯発症しない場合もあるようです。)根本的な治療法が無く、発症後の完治が難しい病気です。
主な感染経路はキャリア猫とのケンカによる咬み傷からです。
ワクチンの種類と対応する感染症
猫のワクチンには、上記の病気を予防するものを3~5種組み合わせた混合ワクチンと呼ばれるものと単体ワクチンがあります。各ワクチンと、それに対応する病気は下記の通りです。
3種 | 4種 | 5種 | 単体 | |
---|---|---|---|---|
猫ヘルペスウイルス感染症 | ● | ● | ● | |
猫カリシウイルス感染症 | ● | ● | ● | |
猫汎白血球減少症 | ● | ● | ● | |
猫クラミジア感染症 | ● | |||
猫白血病ウイルス感染症 | ● | ● | ● | |
猫免疫不全ウイルス感染症 | ● |
※5種混合ワクチンに、猫カリシウイルスの別タイプ(2種)を予防するワクチンを加えた7種混合ワクチンも存在します。
一般的に、室内で1匹だけ飼育している場合は「コアワクチン」と呼ばれる3種混合ワクチンを接種します。外に出ることのある猫ちゃんや多頭飼いの場合には4種以上のワクチン接種を勧められることが多いでしょう。
ワクチンには「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2タイプがあります。
・生ワクチン
毒性を弱めた病原体を使用したもので、高い免疫力を得られ免疫がつくまでのスピードも比較的早いです。
・不活化ワクチン
死滅させた病原体を使用したもので、比較的副反応が起きやすいと言われています。免疫の獲得には生ワクチンよりも時間がかかります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらのタイプを接種するかは猫ちゃんの体質や生活環境を考慮しつつ獣医さんに相談してみてください。
ワクチンを接種しなかった場合のデメリット
もちろんワクチンを接種せず、予防できたはずの病気にかかってしまう可能性があるという点については言うまでもありませんが実はそれ以外にもデメリットがあるのです。
入院するのにワクチンの接種を必須条件としている動物病院もあります。ワクチンを接種していないと、いざという時に入院できず十分な治療が受けられないという事態になりかねません。
そもそも猫の場合ペットホテルに預けるのはあまり好ましくありませんが、どうしても家を空けなければならないこともあるかもしれません。ペットホテルでもワクチン接種を利用条件としているところが少なくありません。
ワクチンの接種で防げる感染症の治療費については補償対象となりませんので、もし感染・発症してしまったら治療費は全額負担せざるを得ません。
気になる費用は?
ワクチン接種の費用は動物病院によって異なりますが、それぞれの目安は下記の通りです。
・3種混合…3,000円~5,000円
・4種/5種混合…5,000~8,000円
・単体…3,000~6,000円
ちなみにワクチン接種自体は保険適用外です。
【毎年必要】ワクチン接種時期と頻度
まず生後6週~8週の間に1度目の接種を行い、その後3~4週空けて2度目を接種します。
ペットショップや保護施設などでは初回の接種を早めに実施することもあり、その場合も3~4週空けて2度目を、さらに3~4週間後に3度目の接種を行って、生まれた年の最後の接種が生後4ヶ月ごろに来るようにします。
子猫時代の2度目あるいは3度目のワクチン接種を行った後は、1年おきに毎年接種していくのが日本における一般的な接種頻度です。
子猫をお迎えする場合、大抵初回のワクチン接種は完了していることが多いかと思いますので、いつ頃何度目の接種をさせるべきかしっかりと把握しておきましょう。
ワクチンの副作用や接種にあたって注意すること
ワクチン接種前に気をつけること
上述の通り、適切な時期にワクチンを接種する必要があるので次回接種する時期をきちんと把握しておきましょう。
またワクチンの接種は少なからず猫ちゃんの体に負担をかけますので、接種予定日に調子が悪そうな場合は獣医さんに相談の上、別日に改めた方が良いです。
もちろん妊娠中の接種はNGです。
副作用はある?
確率は低いのですが、ワクチンには副反応が見られることもあります。ワクチンの接種後、ぐったりしていたりいつもと様子が違うようならすぐに獣医さんに相談してください。
稀にアナフィラキシーショックを起こすこともあり、その場合は接種後間もなく痙攣や呼吸困難が見られます。病院に居ればすぐに処置してもらうことができるので、ワクチンの接種後は30分ほど待合室で待機させてもらうことをお勧めします。
また特に普段と変わった様子がなさそうでも、接種後は家でゆっくり過ごさせてあげて飼い主さんも注意深く猫ちゃんを見守るようにしましょう。
まとめ:猫のワクチン接種は獣医さんと相談しながら適切に
ワクチンで予防できる感染症や接種にかかる費用、副作用についてお分かりいただけたでしょうか。
家族の一員である猫ちゃんに健康に暮らしてもらうためにも、ワクチンのことを理解し毎年の接種を忘れずに行いましょう。もちろん猫ちゃんそれぞれの体質や持病もあるかと思いますので、気になることがあれば獣医さんに相談してみてくださいね。
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